2025年8月 夏期研究大会
今年のAPEJ夏期研究大会は,8月2(土),3日(日)の2日間,北海道札幌東高等学校で開催されます。zoomも併用しオンラインでの参加も可能です。
夏期研究大会の概要(案内PDF)
期日 8月2(土),3日(日)
会場 北海道札幌東高等学校(zoom併用開催)
テーマ 物理概念を理解するとはなんだろうか
プログラム
2日 | 開場 | 受付 | |||
開会式 | 開会宣言・APEJ会長挨拶・実行委員長挨拶・諸連絡 | ||||
研究発表 (原著講演) |
‖ ‖ ‖ ‖ 12:35 |
峯岸 晃⽣ | 反発係数 〜定義ととらえるか、法則ととらえるか〜 | ||
今和泉 卓也 | 衝突現象を速度平⾯で考える | ||||
⻄尾 信⼀ | 三態と熱運動の関係の誤解 | ||||
今井 章⼈ | 理系⾼校⽣の電磁気概念調査の⽐較と⼤規模調査 | ||||
昼休み 兼 業者展示 | |||||
研究発表 (原著講演) |
‖ 14:10 |
⻑⾕川 ⼤和 | 斜⽅投射の解法調査 〜物理概念の理解とは〜 | ||
朝倉 彬 | 「⼒学ワークショップ」で育む物理概念理解の実践と分析 | ||||
休憩 | |||||
企画講演 | 北海道大学 名誉教授 ⼤野 栄三 |
「⽣徒が物理をわかっている」ことを教師がわかるために | |||
休憩 | |||||
実践交流① 物理概念を理解するとは |
‖ 16:15 |
中道 洋友 | ⽣徒は⼯夫して間違える 〜思いもよらない解法を作り出す〜 | ||
峯岸 晃⽣ | なめらかに接続された授業を⽬指して | ||||
グループ討論 実践交流を受けて | |||||
⼀⽇⽬閉会 諸連絡 のち 懇親会 | |||||
3日 | 開場 | 受付 | |||
諸連絡 | |||||
研究発表 (原著講演) |
‖ ‖ ‖ ‖ ‖ 10:30 |
北岡 和樹 | 動画分析・GoogleColabを活⽤した⼒学単元の授業実践 | ||
⼩川 慎⼆郎 | 家庭での動画解析を基本とした、物体の動きについてのWLC型学習 | ||||
影森 徹 | ハルバッハ配列磁⽯の教材化の⼀考察 | ||||
⻑⾕川 優樹 | 理科教育と情報技術の乖離を埋めるための⾝近な情報機器を活⽤した教材の検討 | ||||
休憩 | |||||
特別講演 | 公立千歳科学技術大学 准教授 ⼤島 ⼤輔 |
先端半導体が拓く北海道の未来 | |||
昼休み 兼 業者展示 | |||||
招待講演 | 北海道帯広柏葉⾼校 ⼩林 哲也 |
物理における表現⼒・思考⼒の育成と⽣成AIの活⽤ | |||
実践交流② ⽣成AIの活⽤について |
‖ ‖ ‖ ‖ 14:30 |
朝倉 彬 | 「中学⽣AI」に物理をちゃんと説明してみよう︕ | ||
伊藤 紀章 | ChatGPTはTAになれるか︖ | ||||
⻄尾 信⼀ | 授業アンケートの回答の要約と改善策の提案 | ||||
今和泉 卓也 | VS CodeとGithub Copilotで素⼈でもけっこう開発できます | ||||
グループ討論 実践交流を受けて | |||||
全体討論 | |||||
閉会式 |



会長 挨拶 実行委員長 挨拶 会場の様子


峯岸さん 反発係数を再定義してみる挑戦。エネルギーの損失比(正確には残存割合)と言えないか?一次元では説明できても平面に拡張できないと指摘あり。だが「定義だから」と流さない思考は大切。


今和泉さん 2020年から発表している二次元平面の衝突について新機軸を提案した。速度ー速度グラフというあまり見慣れないものではあるが、視点を切り替えて2つの座標系を考えるのには有効そうだ。


西尾さん 物質の三態で「気体>液体>固体の順に熱運動のエネルギーが大きい」という誤解がある。10年近く前から鈴木亨さんが指摘しているが、発信し続けて世の中を変えていく必要もあるだろう。


今井さん 2018年に調査したBEMAを2025年でも行った。当時との比較もふまえての紹介だったが、どのような誤概念があるかを知ったり、学習後の高校生の概念の把握に役立てることができる。


業者展示


長谷川さん 斜方投射を題材に生徒がどのように理解しているかを把握する概念調査問題を作成した。正答率だけでなく、数式やグラフで表現できるか、グラフが読み取れるか等も考慮して分析したい。


朝倉さん 力学の復習として言語活動による力学ワークショップを実施している。図や数式を使わずに言語のみで説明を試みさせる。生徒からは「理解の促進につながった」との評価もあった。






大野さん 「生徒が物理を理解している」ということを、どうやって把握できるのだろうか。形式的に「何ができたか」で評価するのではなく、学習の中身と関連づけた質的な評価はなかなか行われていないのが実情だろう。学習を深化させるために授業に紐づいた評価が必要だろう。


中道さん 北理研でやられている「実践交流」をAPEJでも、ということで行われた企画。答えは合っているが考え方が合っているか?と思われる生徒の解答を紹介してくれた。導出過程を説明させたい。


峯岸さん 事例を紹介する、のではなく、困っていることをAPEJに投げて、先輩方にグループワークで解決してもらおうという発想の転換の発表(?)。教材研究をする発問としては大変機能していた。


グループディスカッション



懇親会 @キリンビール園


北岡さん 1人1台のChromebookが使えるので、Trackerを使って動画解析をさせたり、Google Colaboratoryを使わせてシミュレーションさせたりした。概念獲得に有効か?探究活動に活用可能。


小川さん 授業と並行して探究実験を家でやらせる工夫。中学生が動画を分析して、どのような動画なら正確に分析できるか、モデル化できるか、等を学んでいく。家なら試行錯誤をする余裕も生まれる。


影森さん NIMSで紹介されていたハルバッハ配列を教材化した報告。磁石の置き方を変え、クリップモーターの回転数をオシロスコープで測り定量評価し、t検定で有意さがあるかを生徒が調べる。


長谷川さん 物理と情報技術をつなぐ教材を考え、高校生一年生対象でワークショップを行った報告。FM変調を題材にワイヤレス給電などにも話を広げ、生徒の動機づけを強めた。やはり実物は強い。






大島さん 千歳空港すぐ近くには、公立千歳科学技術大学や半導体メーカーRupidusが存在する。そこで量産される、半導体素子を複数に分割し、組み立て、電気的に接続した「チップレット」と呼ばれる技術や、光電融合技術についてのお話だった。最先端技術を知っておくのも物理教員の務めだろう。






小林さん 授業でChatGPTを生徒に使わせ、その会話(プロンプト)を分析してみたら、GPTの説明に基づいた類推を返したり、回答の誤りを指摘したりする生徒は少ないことに気づいた。この「類推」や「反論」ができなければ物理を理解したとは言えないのではないか。上手に使って学習させたい。


朝倉さん ChatGPTをチューニングして「中学生」になってもらい、高校生の生徒が説明したものを、中学生(ChatGPT)がわかりやすいかどうかを評価する。言語化するサポーターとして機能させたい。


伊藤さん 「すぐには正解を教えないで」とチュートリアル式対話を仕込んだChatGPTのTAを、光の波動性分野で使ってみた。まだまだ上手く立ち回ってくれず有効とは感じなかったとのこと。


西尾さん 勝田さんの3月の発表で、生徒の自由記述を要約させていたので、真似をしてみた報告。改善点も要求したが、比較的的確なものを返してくれたという。大人数だと有益だろうという感想を得た。


今和泉さん コードエディターであるVisual Studio Code(VSCode)を用いて、即時的にシミュレーションを作成してくれた。AIに「こういう風にしたい」と伝えるだけでコードを書いてくれる。

グループディスカッション 2日目